「WCS 2017」準優勝 アリス選手インタビュー ~輝かしい成績を残したアリスさん(スズキナオト選手)へのインタビューを紹介します。~
posted by ししゃも
「ポケモンワールドチャンピオンシップス2017」で準優勝という輝かしい成績を残したアリスさん(スズキナオト選手)へのインタビューを紹介します。
<日本人が予想してなかった分布>
――日本に帰国してからすでに数日経ちましたが、今の気持ちは?
「なんで引けなかったんだろう」って今でもずっと思ってます。山札の中の4/5くらいが当たりなのに必要な1枚が引けず、グソクムシャになれず負け、みたいな感じだったので。
――そもそもWCSの参加前の時点で、大会でのデッキ分布はどういうものだと分析していましたか?
まずキュウコンジュナイパーがたくさんいるだろうっていうのを考えていて。そのほかはちょっとずついるのかなくらいに思っていました。
――決勝で当たったサーナイトGXを軸としたデッキは、そこまで意識していなかった?
キュウコンジュナイパーよりは少ないくらいの人数はいるかなって感じでした。一緒に練習していたメンバーのキュウコンジュナイパーへの評価が高かったから、環境読みの中心がキュウコンジュナイパーに寄ってしまった感覚はありました。
――実際に「WCS 2017」DAY1、DAY2のデッキ分布を目の当たりにして、環境読みは当たっていましたか?
想定していたよりダストダスを入れたデッキが多かったですね。特にジジダストとエーフィダストが多くて、日本人がちょっと予想していなかった分布だったと思います。
<「グソクムシャダストダス」の手応え>
――アリスさんが握った「グソクムシャダストダス」はどういう経緯で組まれたデッキなんでしょうか?
「日本一決定戦」でつばめ君が使っていたデッキと、練習会でガルシア君が使っていたデッキを足して2で割ったら強いんじゃないかなと思ったのがきっかけですね。具体的に言うとつばめ君のデッキがグソクムシャとSML2のダストダス(ごみなだれ)で、ガルシア君のデッキがグソクムシャとXY9のダストダス(ダストオキシン)で、僕のデッキはどちらのダストダスも入っているデッキなんです。
――先ほど聞いた「WCS 2017」での環境読みから、このデッキが最適だと判断したんでしょうか?
と言うよりかは使えるデッキがこれしかなかったんですよね。練習会ではいろんなデッキを使っていたんですけど、いつもスイスドローで下のほうにいたんですよ。その中でも「グソクムシャダストダス」を使ったときだけは手応えがあって。だったらこれを使うしかないなと。
――デッキの構築で悩んでいたところはありますか?
DAY1の様子を見て、1枚ダブル無色エネルギーを追加しました。ダブル無色を多く積むと「ザンクロスGX」が打ちやすくなるので、ボルケニオン系のデッキへの勝率がちょっとは上がるかなと思いました。ダブル無色の代わりに抜いたカードはあなぬけのヒモですね。
――「この1枚に助けられた」ってカードはありますか?
オカルトマニアですね。対戦開始して相手のバトル場にアンノーンがいたからオカルトマニアを打って番を返したんです。次のターンにXY9のダストダス(ダストオキシン)にかるいしを付けることができて、相手に特性を使わせずに押し切ることができて。キュウコンジュナイパーとの対戦のときも、終盤にオカルトマニアを打つことで、相手がサイドを取り切れずに逃げ切る、ということがありました。ダストオキシンのダストダスが入っているからと抜いてはいけないカードがオカルトマニアだったと思っています。
――今振り返ってみて、デッキの改良点を挙げるとすれば?
間違いなくマギアナEXを入れたと思います。サーナイトGXに有利が取れるカードは入れておくべきでした。
――ちなみに抜くとすればどのカードを?
ヘビーボールか、レスキュータンカ、あとはフィールドブロアーかなあ。今大事だって言ったばっかりですが、オカルトマニアも候補に挙がりますね。
<DAY2、DAY3を振り返って>
――アリスさんはDAY2から出場し、6勝1敗で決勝に進出しました。DAY2での一敗の相手は?
エーフィダストですね。配信卓での対戦だったんですけど、わずか20分くらいで負けてしまいました。
――エーフィダストは不利な対戦相手でしたか?
そこまで不利なイメージはなかったんですが、実際には少し不利だったみたいですね。ただ配信卓での対戦を終えて、次の対戦相手がまたエーフィダストだったんです。「終わった」と思ったんですけど、その対戦は○×○でなんとか勝てて。エネルギー引かれたら負け、みたいなところまで追い詰められてはいたので、勝てたのはラッキーでした。
――DAY1、DAY2の出場者の中で、目を引くデッキってありましたか?
チームアチャモの皆さんが使っていたエンニュートGXを入れた炎ですね。もしあのデッキに当たったら僕はすぐ負けていたと思います。4勝1敗の段階で、グソクムシャダストダスを使っている日本人が4人くらいいたんですけど、同じラインに炎デッキを使っているチムアチャの米田さんもいて。誰が当たるかヒヤヒヤしながら対戦していました。
――「WCS 2017」で好成績を残せた勝因はなんだと思いますか?
ボルケニオンを軸としたデッキに当たらなかったことですね。当たり運に助けられたことは間違いないと思います。エーフィダストのような予想外のデッキに当たることもあったんですが、ごみなだれのダストダスが入っている分、みんなよりは少し有利だったはずだし。実はエーフィにごみなだれを打つ試合は一度もなかったんですけど(笑)。
――DAY3での決勝戦はどうでしたか?
最終戦の相手はやっぱり強かったですね。1戦目の終盤は、使ってはいけないバトルサーチャーを消費しちゃったんです。こちらの負け筋を相手がちゃんと把握していたので、無理やり勝ちに行って冷静に対処されてしまいました。対戦を観てくれてたみんなからも話を聞いたんですけど、相手の引きもけっこう強かったみたいで。世界一になるにはまだいろいろ足りなかったってことなのかなあと思いました。
<ひたすら数をこなした練習>
――ちなみに世界大会に向けてはどうやって練習していますか?
同じく世界大会に向かう仲間たちと一緒にひたすら数をこなしました。それこそ毎日のように4~5人集まって、手に合うデッキが見つかるまで何度も対戦しましたし、デッキが固まってからも繰り返し対戦をしました。強いメンバーに囲まれて練習できたのは幸運でした。
――ポケカメモ杯の読者へのメッセージをお願いします。
僕はまだポケモンカードを始めて2年なんですけど、腐らずにがんばって取り組めばこういう結果を残すことができるようなので、来年の世界大会に向けてこれからも一緒にがんばりましょう。ベスト4に入れたので、すでに来年の「WCS」への参加権は手に入ったのですが、僕は国内の盾を持っていないので横浜大会から勝ちにいきたいです!
撮影・取材・文 / Kura